2011年 02月 19日
“メイキング物”の功罪 |
最近では映画やドラマのメイキングムービーやディレクターズカット版が大流行り。
NGカットや編集に漏れた部分を敢えて公開するわけだが、本編を観た後ならともかくプロモーションと称して前倒しで見せているのには恐れ入る。
映画のストーリーよりも特定人気スターの“楽屋落ち”ネタが優先されているようでどうにも釈然としないが、これも営業上仕方無い事なんだろう。
さて
レコードの世界でも 別テイク/ボーナストラック というものがあり、
チャーリー・パーカー等は各テイク毎に全く違うアプローチのソロを吹いていたのだからDialレーベルの様に同曲の別テイクだけ延々と続くレコードがあったとして少なくとも楽理研究者達にとっては有益であった。
時代が下って70分以上も収録出来るCDの登場・・・、
一時、何でもかんでも器に目一杯盛ろうとするが如くボーナストラックばかりの水増し競争が勃発、
前述のバードのように価値がある物、単なるNGテイク・・まさに玉石混交の様相を呈し雑誌上で論争になったりもした。
まあ最終的には
オリジナルフォーマット、つまり演奏者当人やプロデューサーが下した取捨選択の判断を尊重しよう・・・という風潮に落ち着いてはいるようである。
僕が思う、最高の “メイキング物” はこれ、
マイルスの 『リラクシン』である。
当時(50年代)としては曲間に
『ボブ、もう一度聴かせてくれ』(マイルス)
『ビールの栓抜きは何処?』(コルトレーン)
といったミュージシャン達の生声がそのまま入っているレコードなんて画期的だったし、これがこの作品の大きなチャームポイントになったのは間違いない。
しかしこれとて後に出された “コンプリート版” ではただダラダラと続く副調整室とのやり取りとかなかなか完奏テイクすら出てこなかったりとか・・・
ドキュメント、と言われれば納得せざるを得なくてもその冗長さにも閉口する。
もっと凄いのは
このサッチモ&エリントンの豪華顔合わせ盤。
当初はLP2枚分のスッキリとした体裁/分量だったが拡張版になると色々出て来るは出て来るは・・・・・、
♬ブラック&タン ファンタジー だったかな?
エリントン楽団で自分が吹いたサビの部分を当時者のB・ビガード(cl)が何十年も経って吹けない!のだ。
そして残酷にも何度も何度も彼(ビガード)がそのパートを練習する模様がしっかりこの完全版には収録されている。
(だが最終的にはOKテイクとしてその部分はルイが吹いている)
こういう部分を収録されているからと、何もかも白日の下に晒してしまって果たして良いものか?
見なかった(聴かなかった)方が幸せ、な事も有るのだから・・・。
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by slapper1107
| 2011-02-19 00:34
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