2011年 02月 20日
毒を喰らわば…~ノイズ考~ |
相変わらず、面白いのでフルヴェン(こらっ)をずっと聴いている。
中でも三日前のエントリーの三枚目(1番下), ♬FIDELIO というベートーヴェンにしてはレアな?オペラ物が興味深く・・・、
クレジットによれば
ウィーンフィル、ザルツブルグ、1948年実況録音、 とある。
オペラも僕にとっては全くの未知なる世界、
色々面白い発見があった。
オペラ=歌劇、というくらいだから当たり前だけど演奏に混じって登場人物達(歌手)の科白や歌が唐突に挿入される。
衝撃的だったのは彼等の科白(台本の“地”の部分)が恐ろしく生々しい事、これは彼等が役者である以前にそれぞれおそろしく声量のある歌手だからして当然ではあるが、それ以上に舞台の上を歩き(走り)廻る “足音” がドカドカ収録されている事であった。
ザルツブルグといえば僕も数年前に訪れた事があるが街全体に流れる独特の、それは音楽的、としか言い様が無い空気が感じられた。
お城の最上部にあった小さな部屋で弦楽カルテットをチラ聴きしただけでもその “片鱗” は感じられ、これが大ホールで聴く歌劇ならさぞや凄いのだろうな…と、容易に想像がつく。
そうそう、このオペラでの 『足音』の話であった。
その余りにスピードある抜けの良い “中低音” は大型システムのチェック用に使えるな・・・といのは冗談にしても、楽音以外の音がこれだけ音楽的に聴こえる事が驚きだった。
普通、こうした舞台上の足音等は “暗騒音” と呼ばれて録音現場では最も忌み嫌われるもの。
しかし
こうした “ノイズ” 達を無条件に削除してしまっても本当に良いのだろうか? と思う。
ゆき過ぎた抗菌ブームが子供達の抵抗(免疫)力を奪う、とするのは早計にしても蒸留水は飲用には適さない。
過剰なノイズリダクションはSPの復刻CDを詰まらなくするし、一部のテクノ系コンピュータ音楽には意図的にPCのバグノイズ?を加えたりもしている。
ジャズレコードにも以前はおおらかな作品が幾つもあったし…。
『有名』なのはB・エヴァンス(p)のヴィレッジヴァンガード実況盤、
店の付近を走る地下鉄の音が入っている~というのだ!
LP時代ならフォノイコの性能やそれ以前に針音のサブソニックノイズ域と多分被さってしまいさほど問題にされなかったが、CDを優秀なスピーカー(30Hzあたりまで再生可能)で再生した時に 本当に 聴こえる、らしい。
もうひとつ
ベニーグッドマン楽団が50年代にタイで遺した実況盤には何と演奏中上空を飛ぶ飛行機のプロペラ音までしっかりと入っている。
余程演奏内容が良かったからなんだろうけど、こうした楽音以外の音も許容出来る・・・・
そんな演奏者であり、かつリスナーでありたいものだ。
音楽には本来ミストーンもノイズも無い??のだから。
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by slapper1107
| 2011-02-20 07:55
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