2014年 06月 04日
“旬”を味わいたい.... |
“スタイル” って……?
アート・ペッパーのこの二枚を聴く度にいつも考えさせられる。
1975年に発表された“復帰作”、僕も新譜としてリアルタイムで買い求めたが確かにその“別人の様な”演奏に驚いた記憶がある。
ペッパーと言えばこの『モダンアート』に代表される華麗で滑らかなフレーズが特徴的だったが麻薬禍を経た20年後のそれはより情念が濃い、悪く言うなら“訥弁な”吹き方に変貌していた。
よく言われるのは“半引退時”の60年代に席捲されていたコルトレーンからの影響で、これは同じく50年代西海岸で活躍していたテナー奏者ハロルド・ランドもそうであった(同じくこの復帰作でピアノを弾いているハンプトン・ホウズにもこの頃B・エヴァンスからの影響が顕著だった)。
約10年毎の “ジャズの歴史変遷”を体現していたマイルスですらよく聴くと変わっていったのはバック(周囲)の形態だけであったのに比べ、演奏者本人のスタイルがこれほど変わってしまったケースは珍しいのではなかろうか?
あの“管豪”ソニー・ロリンズですら60年代にオーネット(コールマン)らのアヴァンギャルド派からの影響を消化出来ずに不調をかこった時期が有ったが、ペッパーの場合その余りにも潔い(と、僕には感じる)変貌には元々ファンの多かった日本では概ね好意的に受け容れられたように思う。
さて、
ここからは好みの話しになる。
変身前、後どちらを取るか?だが・・・・
僕はやはり前者が好き。
後者みたいな演奏は別にペッパーで聴かなくてもよいから。
ゲイリー・バーツとかソニー・フォーチュンとか、その時代その時代で “旬なプレイヤー”を味わう方が良いに決まっている。
ペッパーにとっての “旬” はやはり50年代、スタン・ケントン楽団での花形ソリスト時代だった。
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by slapper1107
| 2014-06-04 00:19
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