2017年 06月 15日
『ハスキー』考 |
調べてみたら…その語源は『husk=トウモロコシの皮(殻)』から来ていて、『乾ききったしゃがれ声』というあまり良い意味で使われてはいなかった。
多分、倍音成分を多く含んでいるから不安定かつコントロールし辛い物だったのだろう。
ジャズ界に限って言えば、歌手ならばジュリーロンドンや晩年のレディデイ
そして演奏であれば、(これは僕の個人的意見だが)J・コルトレーンの静かなる3部作
すなわち、♪バラッズ ♪withジョニーハートマン ♪withデュークエリントン
になるだろう。
決してフラジオでハードに吹くのではないのだが、普通の演奏でも高音域が出し辛そうにひしゃげた苦しそうな音・・・・・・(この時彼はマウスピースの不調に悩まされていていつものような激しい吹奏が出来なかった、という説はあながち間違ってはいなかった?)
僕には、これがとてもハスキーに聴こえるのだが ↑ の『・・・倍音の多い・・』という説明ならとても納得がいく。
本来、聴き辛いはずのハスキーなサウンドが何故聴き手の共感を得るのか?
手前味噌になるけれど、
・・・僕は愛器をオールプレーンガット(弦)化してひとつ気づいた事が有って・・・
本来ならサスティーン(音の伸び)も少なくボソボソとブツ切れの音なのに、この音色でなんとかメロディーとかフレーズを弾こうとすると当然左手の方は弦を押さえる軋み音色がギシギシいうし逆に感情移入がしやすくなった。
つまり、“ハスキー”というのは “セクシー” とか “色っぽい” とかいう即物的な物では無くて 『なんとか頑張って音にしようとジタバタする様(さま)』や『物事をストレートに言うのではなく遠まわしにフィルターを通して言う』・・・といった饒舌さや朗々とした健全さとは対極にある物なのではないのか?
だからこうした所に魅力を見出す人も居るのではないか?
これってブルース(的な表現)そのもの、ですよね。
付け加えるなら、
現在の本邦トラッドジャズ界で最もハスキー(な音色)なのは
小林 淑郎さんのクラリネット、
だと思う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
by slapper1107
| 2017-06-15 00:08
| レコード