2009年 12月 02日
キーワードは HOT |
今日は久々の ”リアルタイム” 更新。
昨日のDVDの興奮がまだ体内にくすぶっている、
この映像、というかこの時代(1930~40年代)に漲っていたある ”感覚”。
それは一言で言い切れば HOT としか表現できない。
’29年の大恐慌で一旦どん底まで突き落とされそこから10年ほどかかってやっと這い上がってきた・・・・・
”世直し音楽” とまで言われた swing jazzの台頭,そして(あまり良い事ではないが)大きな戦争も控えていたある種の ”高揚感” これこそ HOT なフィーリングの正体ではなかったか?
だからこそ、こうしたdanceはすべからく hot danceだし、音楽は hot jazz となるわけだ。
ここで言う HOT とは cool の対義語としてのhotではない。
(後述するがこの時点では cool という感覚は一般的には存在し得なかった)
もちろん ”熱い” が第一義にあるのは間違いないが、例えば Louis Armstrongの楽団名のhot fiveやhot seven、Lionel Hamptonの "Hot Mallets" というアルバム名・・・・etc、なんでもかんでもやたらに HOT という形容詞が使われていた形跡がある事からも見て、とにかく『カッコ良い、イカしてる』という、より広義な意味で使われていたのだと思う。
もうひとつ HOT には 『(流行の)最先端をいく』という意味もあり、danceやjazzはまさに時代の真っ先を疾走する物であったのだ(←今の感覚からすれば本当に羨ましい事だ)。
僕が思うに HOT JAZZ は1940年半ばに全盛を極めその後徐々に衰退していく。
・・・・というかこの頃までは jazz=hot jazz だったのだ。つまり幸せな事にこの時代には細かいジャンル分けなど最初から存在せず、エリントンの言葉を借りるまでもなく『良い音楽かそうでない音楽かの』二種類しか無かった。
1945年に 大戦が終わると世の中の ”感覚” は一変・・・・
一気に拡がる解放感、そして技術革新の恩恵で特に世の中の ”スピード感覚” は飛躍的に増大する。
”戦勝国” アメリカではこれが特に顕著であり、モータリゼーションやそれに伴う ”流線型”フォルムの流行、音楽でも旧来の hot jazz よりも抽象的でより音符が細分化された ”踊れない”ジャズ、そう・・・・Be Bopの誕生である。このようにして出て来た ”cool” という感覚はもはや音楽とか絵画、といった特定の分野だけに定義づけられる物ではなく一種世の中全体の雰囲気(=風俗)を表す言葉でもあった。
cool jazzというのは狭義にはトリスターノ派や後に続くS・ゲッツ等をさすのであろうが、それまでのhot jazzに取って代わったという意味では be bopこそ ”究極のcool jazz” とする考え(今、僕が思いついた!!←嘘)も面白いのではないか。
・・・・・とにかく
どんな意見や学説?があろうとも僕は HOT JAZZが大好きだし、自分が演奏する上ではあくまでこれに拘っていきたいものだ。
(演奏が終わって ”ホットしたjazz”、なんて言われないようにね・・・・)
by slapper1107
| 2009-12-02 02:43
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