2010年 10月 30日
越境、してみる? |
一昔前、Crossoverなるジャンルがあった。
まあ『Fusion音楽』の前身みたいなものであるが、要はあるひとつのジャンルに収まりきらない音楽の総称とでも言うべきか。
しかし
考え方や見方の角度を変えてみると、
本当にそんなにはっきりと区別できる『ジャンル』なんて存在するのだろうか? という根本的命題にぶち当たるはずだ。
まあ、ジャズとクラシック音楽とでは違うのは明白だが、同じジャズの中でトラッドだのモダンだのフリーだの区分けするのは果たして正解なのかどうか・・・・・。
ジャズの変遷、みたいに垂直的な時間軸で分けるよりも同時代性を重視して水平的な地域格差としてジャズを見直してみる作業、つまりスイングジャズもカンサスジャズもニューヨークビバップも・・・・同時多発的に並行して存在した・・・・・・さらに言えば、これらは同じ事を違う言い方で言ってるのに過ぎない(それぞれが別々の方言みたいなもの)、とする考え方の方がスマートな気がする。
こうして見ると
ミシシッピーを遡上して行ったジャズメン達は偉大なる“越境者”であり、このようにして発展してきたジャズという音楽のヴァイタリティの体現者だったと言えるだろう。
個人レベルで考えても
ジャンルそのものを創出して見せほぼ十年単位でそれらを乗り越えてきたマイルスの様な人も居れば、バンクジョンソンの様に決して “越境” しようとしなかったガラパゴス的な人も居てそれはそれでアリ、だと思うのである。
突然
卑近な例となるが、
僕らが普段演奏していても、同じ楽器編成で同じレパートリーなのに人ひとり入れ替わっただけでガラリとその内容が変わる事がある。
興味深い事だが、これも一種の “越境” ではなかろうか?
どんな些細な変化でも演奏に大なり小なり反映される・・・・・これこそ僕等が演奏を続けている原動力とでも言うべき面白い作用なのだが、そればっかり追っていると肝腎の自己アイデンティティがお留守になってしまう。
まさに
越境感と喪失感とは紙一重なのだ。
聴き手をないがしろにしてはいけない、
常に心に刻んでおこう。
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by slapper1107
| 2010-10-30 01:16
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