2009年 09月 30日
多楽器主義について |
昨日話題にしたAEOC(アートアンサンブルオブシカゴ)やローランド・カーク、
何でそんなに?・・・・と訊きたくなるくらいに数多くの楽器を使用している。
特にR・カークはマンゼロやストリッチというチャルメラ状のリード楽器、さらにはフルート~ホイッスル類にいたるまでじゃらじゃらと首から下げ ”本職の” サックスと全部一緒に吹くものだからその特異な風貌と相まってともすれば ”怪人” 視されたものだった。
同じく昨日の ”演劇性” という観点からすればこうした行為はいかにも視覚的アピールを狙った物だと考えられがちだ。だが僕は『どうしてもこのサウンドが欲しい』という切実な欲求の結果、という好意的解釈をしたい。
(だいたい、そもそもカークは目が見えないのだ!!)
そもそも ”器用貧乏” という言葉(日本にしか無い?)にある通り、このような複数楽器の持ち替えはどちらかといえばあまり良い印象では迎えられていない。(これも日本だけかも?)
日本的な考えをすれば、一つの楽器を一生かけて習得→究める(極める)といった ”○○道” 的いき方がより素晴らしいとされる事は想像に難くない。
ただ世界的には 必要ならば何でも演る、という合理的かつ ” 割り切った” 考え方=多楽器主義も一方ではある。
惜しくも故人となったが トム・ベイカーという男がいた。
彼はアメリカ出身だがずっとオーストラリア(シドニー)に腰を据えつつも世界中のあらゆる ”現場” に出没、僕もヨーロッパ、アメリカサクラメント、そして神戸ジャズストリートで何度も一緒になった。
このトムが ”マルチプレイヤーの権化” みたいな奴で、サックス(テナー/アルト/ソプラノ/バス)トランペット、トロンボーン、弦楽器一般さらにはスーザホンまで・・・・。普通このくらい多くの楽器を扱うと一つくらいは弱みがありそうなものだが、彼にはそれが一切無かった。(一度本当のメインインストゥルメンツは何だと訊いた事が有るが、どうやらトロンボーンらしい)
もう何年も前アイントホーヴェン(蘭)のジャズフェスでのアフターアワーズ、同じくコルネットに持ち替えていたダン・バレットとトムによる2コルネットセッションが今でも忘れらない。
さらに今年のオランダはブレダジャズフェスティヴァル。
ここでも当然の如く・・・・・楽器持ち替えの ”花盛り”だった。

ハンガリーのトロンボーン奏者アッティラ・コーブ。
彼は非常にモダンなTbを吹くのだが・・・・・・・・

コルネットに持ち帰るといきなりBixに変身、僕にはこちらの方が好印象だった。
(彼はめでたく神戸ジャズ賞を獲得、10月日本にやって来る)
そして前述のT・ベイカーの ”愛弟子” サイモン・ストゥリブリング。

ご覧のように ”本職” はコルネット。
彼は元々シドニーでトムのメンバーであったがカナダ人女性と結婚、今ではバンクーバーに移住し現地の若い連中を束ね ”バンクーバー派の領袖” と言っても良いくらいの活躍ぶりだ。

サックスも当たり前が如く。
アルトだとまさにジミー・ドーシーの再来、今年はソプラノでブイブイいわせていた。
これらは毎晩繰り広げられる late-jam。
このあたりだと終了間際の深夜3時くらいかな・・・・・?



・・・・・・もはや誰も ”本職の” 楽器でなかったりする(笑)。
PHOTO by Foppe Kooistra
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by slapper1107
| 2009-09-30 10:54
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